ブランドの減価から、ブランド・レジリエンスへ

September 3, 2026

AI時代にCMOが再考すべきこと

「生成AI」がマーケティングのバズワードになるよりずっと前から、ブランドが減価していく場面を、私は何度も見てきました。

たとえば、大きく事業の舵を切ろうとしていた電機系のコングロマリットを、間近で見ていたことがあります。戦略の軸が移っていくにつれ、かつての主力ブランドのいくつかは少しずつ表舞台から退き、関心も投資も別の領域へと流れていきました。当時は意識していませんでしたが、いま振り返ると、あれは意図された「戦略的なブランド減価」だったのだと思います。古い方向性に結びついていたエクイティが、会社の変化とともに、静かに役割を終えていったわけです。

逆の例もあります。2000年前後、好調だったある自動車メーカーが大規模なリブランディングに踏み切りました。もちろん、その後の強さをリブランディングだけで説明するつもりはありません。製品も、流通も、実行力も、大きく効いていたはずです。それでも私が見るかぎり、あのリブランディングは、その後20年以上にわたって使い続けられるポジショニングの土台をつくりました。

どちらも、私が長く外から眺めてきたケースにすぎず、因果を証明できるものではありませんが、こうした経験から私はひとつのシンプルな前提にたどり着きました。ブランドエクイティは、永遠には続きません。投資して積み増すこともできますし、方向を変えることもできます。そして、減価していくこともあります。そしていま気になっているのは、AIがこの「減価」の仕組みそのものを変えつつあるのではないか、ということです。

エクイティが「転換しなくなる」とき

マーケターは長いあいだ、ブランドエクイティを積み上げていく資産として扱ってきました。認知が親しみを生み、親しみが連想を形づくり、良い体験が信頼を育てていきます。そうして時間をかけるほど、ブランドは次の検討を後押しする資産になっていきます。この考え方そのものは、いまも有効です。顧客の記憶や意味づけ、選好が重要であることは変わりませんし、AakerとKellerの古典的研究はいまなお参照に値します。

先に断っておきたいのですが、ブランドエクイティが時間とともに毀損し、減価しうるという発想そのものは、決して新しくありません。Borkovskyらは2017年のMarketing Science論文で、広告投資によってブランドエクイティが積み上がり、時間とともに目減りしていくプロセスを、動学モデルとして描いています。Aakerも2026年に、短期志向がブランドエクイティを削っていく問題をあらためて取り上げています。減価というテーマ自体は、すでに以前から論じられてきたものです。

私が問いたいのは、その先です。AIによってこれまでとは別の減価の経路が生まれているのではないか、そこに関心があります。

そのために、言葉を一つ定義しておきます。ここで私が「ブランドの減価」と呼ぶのは、ブランドエクイティそのものが消えてなくなることではありません。積み上げてきた認知や信頼、連想、選好が、将来の検討機会にうまくつながらなくなる——その変換効率が落ちていくことを指しています。

式にするなら、こういうイメージです。

ブランドエクイティ ≠ 検討されること

ブランドエクイティ × 転換環境 → 検討されること

いまAIが動かしているのは、少なくとも現時点では、ブランドエクイティそのものというより、この「転換環境」の側だと見ています。

本記事では便宜上「ブランドの減価」とまとめて呼びますが、指しているのはエクイティそのものの毀損だけではありません。そのエクイティを検討機会へと変換する力が落ちることまでを含めています。この意味で、従来の「ブランドエクイティの減価」研究とは、見ている対象が少しずれています。

認知が一晩で消えるわけではありません。いまの顧客が急に信頼を失うわけでも、ブランドがなくなるわけでもありません。それでも、積み上げたエクイティが検討に結びつかない、という事態は起こりえます。

しかもこれは、もう机上の話ではありません。Gartnerが2026年5月に公表した調査(2025年8〜9月実施、B2Bバイヤー645名)では、45%が直近の購買で生成AIを使い、その多くがベンダーや製品の情報収集に充てていました。同じ調査で、67%が「営業担当者を介さない購買」を、70%が「完全にデジタルで完結するセルフサービス型の購買」を好むと答えています。その一方で、69%は「AIが出してきた情報は営業担当者に確かめたい」とも回答しています。

AIは、購買プロセスをまるごと置き換えたわけではありません。情報収集と評価のレイヤーに入り込み、人の営業担当者との役割分担を書き換えはじめている——そういう段階です。

構図としては、こう整理できます。

発見・評価 → AIとデジタルの比重が増す検証・確信 → 人の価値がより際立つ

Gartner自身も、売り手の役割が「主たる情報源」から「検証と確信を与える存在」へと移りつつある、と説明しています。とはいえ、役割がきれいに二つに割れるわけではありません。同じ調査では、課題を洗い出す段階や取引先を絞り込む段階でも、営業担当者は引き続き重要だとされています。

だからこそ、CMOが立てるべき問いも変わってきます。「顧客が動き出したとき、自社を思い出してもらえるか」だけでは足りません。「顧客が“まず何を見るべきか”をAIに尋ねたとき、自社はその候補に入っているか」——この問いが新たに乗ってきます。

ゼロタッチと、検討機会の経済学

これまでのブランド構築は、その多くが「接点があること」を前提にしてきました。顧客は広告を目にし、サイトを訪れ、製品情報を読み、営業と話し、他社と見比べながら、少しずつ自分なりの見方を固めていきます。マーケティングは、この一つひとつの場面を磨くことに、何十年もかけてきました。

AIは、ブランドが直接かかわるより前の段階で、このプロセスの一部を一気に圧縮します。買い手はAIに課題を伝え、選択肢を尋ね、強みと弱みを比べ、最初の候補リストまでつくれてしまいます。しかも、各社のサイトを回ることも、検討先の担当者と話すこともなく、です。

Accentureは、こうした振る舞いを「ゼロタッチ」エンゲージメントと呼んでいます。同社の2025年の消費者調査(14カ国・18,000人)では、生成AIを積極的に使う層の83%が、製品やサービスを選ぶときに生成AIを頼りにしていました。また、消費者の75%が、AIエージェントを“パーソナルショッパー”として使うことに前向きだと答えています。これはB2Cの調査ですから、すべての購買が自律化する証拠にはなりません。それでも、ブランドと直接ふれあう前の層が、これまで以上に効いてきているというサインではあります。

「ゼロタッチ」とは、影響力がゼロになる、という意味ではありません。ブランドが登場する前に、すでに影響が及んでいる——そういう状態を指します。

ここに、私が「ゼロタッチ・ブランドのパラドクス」と呼ぶ状況が現れます。企業が自分の言葉で語れる機会が減るほど、市場が自社について“それらしく”語れる材料の質が、かえって重みを増していくのです。これまでのマーケティングは、接点の質を高めることに力を注いできました。AI時代のマーケティングは、そもそも接点にたどり着ける確率そのものにも、手を打たなければなりません。

どれだけ名が知られ、信頼され、商業的に成功しているブランドでも、それを取り巻く情報が古かったり、食い違っていたり、裏づけが弱かったり、AIにとって読み取りにくかったりすれば、検討の入口で存在感を失いかねません。くり返しになりますが、これはブランドの価値が消えるという話ではありません。すでにある価値を、将来の検討へと変換する力が落ちる、という話です。

ブランド・レジリエンスの3要素

私は、ブランド・レジリエンスを、次の3つの掛け算としてとらえています。

ブランド・レジリエンス = 意味 × AI可読性 × 証拠


ここで大事なのは、「+」ではなく「×」だという点です。意味が強くても、AIに正しく読み取ってもらえなければ、検討の入口にすら届きません。AI可読性が高くても、際立った意味がなければ、ただのコモディティになります。意味とAI可読性がそろっていても、証拠がなければ、信頼はついてきません。3つは互いに支え合っていて、どれか一つがゼロに近づけば、全体が一気に弱くなります。

1. 意味— 自社にしか持てないものを守る

CMOの第一の仕事は、いまも変わりません。ブランドは、何かを確かに意味している必要があります。人はブランドを、評判やデザイン、サービス、アイデンティティ、感情、そして文化を通じて受け取ります。AIが登場したからといって、その重みが下がるわけではありません。むしろ、製品説明の生成が容易になり、横並びの比較が簡単になるほど、ありふれた主張の価値は下がっていきます。「革新的」「顧客中心」「世界水準」——こうした言葉は、結局のところ誰でも使えます。

興味深いことに、この点はGoogleの公式ガイダンスとも重なります。Googleは2026年の生成AI検索向け最適化ガイドで、既存の情報をまとめ直しただけの「コモディティ的なコンテンツ」よりも、独自性があり、専門性や一次経験に根ざしたコンテンツを重んじるよう促しています。要するに、際立った意味を持つことは、ブランド論の話にとどまらず、AI経由で見つけてもらえるかどうかにも直結するのです。

冒頭で触れた自動車メーカーのリブランディングは、この点で示唆に富みます。私の見るかぎり、あれは新しいアイデンティティ以上のもの——投資を積み重ねていけるポジショニングの土台——を生み出しました。それが20年以上も効き続けたことは、意味を単に繰り返すのではなく、更新し続けたときにこそ、強いブランドが減価に耐えられることを物語っています。

だとすれば、問うべきは「人がそのブランドを知っているか」ではありません。「競合には簡単に真似できない意味を、そのブランドが握っているか」です。

実務では——

  • 競合には真似できない意味の核を、はっきり守ります。
  • ポジショニングを棚卸しし、競合がそっくりそのまま使える主張を洗い出したうえで、自社にしか裏づけられない主張に置き換えます。
  • カテゴリを飾る形容詞ではなく、具体的で守りきれる視点や、自社ならではの方法論にブランドを結びつけます。
  • 自社の一次経験に根ざした発信をします。他社の情報をまとめ直しただけの内容は、差別化にも、見つけられやすさにもつながりません。
  • 戦略を変えたときに、ポジショニングの土台をゼロからつくり直さずに吸収できるか——その耐久力を確かめます。

2. AI可読性— 自社が不在でも、現在の事業が正しく再構成される状態にする

これは、新しく加わった責任です。先に用語を補足しておきます。ここで言うAI可読性は、schema.orgやJSON-LDのような技術的マークアップの話ではありません。AIが、その企業は何者で、何をしていて、なぜ関係があり、その主張は何によって裏づけられているのか——これらをどれだけ正確に組み立て直せるか、その度合いのことです。

優れた営業担当者は、商談に文脈を持ち込みます。どの製品がどのニーズに合うのか、何がどう変わったのか、相手の誤解をどう解くのか。ところがゼロタッチのやり取りでは、その“解きほぐし”が一度もなされないまま進むことがあります。だからこそ、社外に置かれた情報が、これまで以上に多くを背負うことになります。

簡単なテストがあります。もし自社が一言も説明できないとしたら、いますでに公開されている情報だけで、正しいストーリーが組み上がるでしょうか。そこに立ち上がるのは“いまの自社”でしょうか。それとも、5年前の自社の抜け殻でしょうか。

ここで、冒頭の電機コングロマリットの話が効いてきます。AI時代には、会社は素早く戦略を切り替えられても、それを取り巻く情報環境は、何年も“昨日の会社”を語り続けることがあります。いまやリブランディングには、新しい意味を打ち立てるだけでなく、古い意味が残していった情報をどう片づけるか、という宿題が加わったのです。

ただし、この領域には誤解も多いので、そこは押さえておきます。Googleは2026年の公式ガイドで、生成AI機能に表示されるために、新しい機械可読ファイルやAI向けのテキストファイル、特別なマークアップをわざわざ用意する必要はない、とはっきり述べています。llms.txtのようなファイルはGoogle検索が参照しないため、つくったところで順位にも見つけやすさにも影響しません。コンテンツを細切れにする決まりもありませんし、構造化データも生成AI検索の必須条件ではありません(リッチリザルトの観点では、引き続き役に立ちます)。

つまりAI可読性を高めるとは、AI向けの特別な仕掛けを足すことではありません。事業のいまの姿を、正確に、最新の状態で、そして取得できる形で公開しておくことです。

実務では

  • 事業の説明を、正確・最新・取得可能な状態でそろえておく
  • 四半期に一度、「ストーリー再構成テスト」を回します。複数のAIアシスタントに自社の事業や提供物を説明させ、誤りや古さ、あいまいさを書き出す
  • 自社サイト、第三者のプロファイル、各種ディレクトリ、パートナーページを見渡し、会社概要・製品・対象顧客・提供価値といった肝心な事実に食い違いがない状態をつくる
  • 重要な事業情報は、クロールできる公開テキストとして置いておく
  • robots.txtやCDN、bot対策などで、主要な検索・AIクローラーをうっかり締め出していないかを確認する
  • 構造化データを使うなら、ページ上に見えているテキストと中身をそろえます。AI向けの特殊なスキーマを前提にしない
  • サイト構造、ページタイトル、見出し、内部リンクを通じて、企業・製品・対象顧客・ユースケースのつながりが読み取れるようにする
  • 過去の自社を語ったままになっている公開情報は消すか直す

なお、肝心な情報がログインやフォームの奥に隠れていたり、クロール・索引化・解析のされ方がまちまちな形式にばらけていたりすると、この組み立て直しは一気に難しくなります。問題は「どのファイル形式が不利か」ではなく、取得できるかどうか、そして中身が一貫しているかどうか、です。

3. 証拠— ブランドの主張を検証可能にする

3つ目の要素が証拠です。マーケティングは長らく、ブランドの「約束」と、その「裏づけ」を別々に扱ってきました。事例は営業が抱え、ドキュメントは別の部門が持ち、PRが第三者の報道をつくり、顧客は外部のプラットフォームにレビューを残す。ところがAIが企業像を組み立てるとき、こうした部門の境界は、しだいに意味を失っていきます。

これは、証拠の戦略的な位置づけそのものを変えます。顧客事例は、もう営業資料にとどまりません。独自調査も、ただのコンテンツではありません。第三者からの評価も、PRだけの話ではありません。それらが束になって、ブランドを取り巻く「証拠環境」をかたちづくります。

Spenceのシグナリング理論は、いまも使えます。品質そのものを直接は確かめられないとき、信頼できるシグナルが不確実性を和らげてくれる、という考え方です。そしてAIが挟まる購買では、顧客がそのシグナルに目を通すより先に、機械が整理し、要約してしまっているかもしれません。

ここで一つ、注意があります。「第三者からの言及を増やせばAIに有利になる」と受け取るのは誤りです。Googleは公式ガイドで、web上で見せかけの「言及」をかき集めようとしても、思うほどの効果はない、と明記しています。狙うべきは言及の“量”ではありません。自社の主張と、第三者の評価とが食い違っていない状態です。問いは、いたってシンプルです。ブランドが自社について語っていることを、市場は裏づけてくれるでしょうか。

実務では

  • あちこちに散らばった証拠を、一つの取得できる「証拠環境」にまとめます。事例、調査、ドキュメント、レビュー、外部評価を、部門ごとの持ち物ではなく、ひとつの仕組みとして扱います。
  • 証拠を営業トークの後ろに隠さず、公開された状態で取得できるようにします。
  • 主張は数字に落とし込み、名前のある、検証できる出典にひもづけます。
  • アナリストの言及、レビュープラットフォーム、信頼できるメディアなどで、自社の主張と第三者の評価がかみ合っている状態をつくります。言及の数を無理に水増しすることが目的ではありません。

ゼロタッチの層に見えていないもの

この変化を厄介にしているのは、2つの要因です。

一つはブランドの本当のエクイティの多くが、ゼロタッチの層からは決して見えない場所にある、ということです。人的ネットワーク、長年の営業関係、顔を合わせて築いてきた信頼——いずれも確かに存在する資産で、商談の後半ではしばしば決め手になります。ところが、AIアシスタントが最初の候補リストを組むとき、その関係資本はそもそも視界に入りません。いちばん影響を受けやすいのは、評判を人と人との接触に強く頼ってきた企業です。

もう一つは、機械が読み取れる情報の量が、多くのチームの想定よりずっと少ない、という現実です。主張は複数のプラットフォームに散らばり、更新のタイミングもそろっていません。断片的で、ちぐはぐで、取り出しにくいコンテンツは、この差をさらに押し広げます。その結果、市場では強いはずのブランドが、初期の検討を左右する層からはほとんど見えない、という事態も起こりえます。

こう考えると、AI可読性は、マーケティングの作業リストの一項目にとどまりません。AIが発見や評価に入り込む購買環境では、検討の入口に残り続けるための、新しい前提条件の一つになります。

CMOの新しい規律:認知だけでなく、レジリエンスを管理する

私は、AIがブランドを終わらせるとは思っていません。すべての購買がゼロタッチになるとも思っていません。人はこれからも、関係性や体験、評判、感情を大切にしますし、複雑で判断の重い意思決定では、人と人とのやり取りが引き続きものを言います。Gartnerの調査にある「検証は人に求める」という結果は、その裏づけでもあります。

とはいえ、直接のやり取りが始まる“手前”の層は、戦略的に重みを増しつつあります。そしてそれは、ブランドマネジメントがずっと前提にしてきた一点を揺らします。積み上げたエクイティは、いまやCMOが完全にはコントロールできない情報環境を、必ず通り抜けなければならなくなったのです。

だからこそ私は、目指す先として「可視性」よりも「レジリエンス」を選びます。レジリエントなブランドとは、カテゴリが移り変わっても意味を保ち、自社の誰もその場にいなくても正しく理解され、主張を第三者に検証されても信頼が揺らがない——そういうブランドです。

減価そのものは、いつも悪だとは限りません。戦略として、古いエクイティをあえて減価させながら、別の場所に新しいエクイティを積み直すことが必要な場面もあります。危ういのは、管理されていない減価です。かつてのブランド力が、もう果たしていない役割をいまも果たしている——組織がそう思い込んでいる状態のことです。

この問題をつくり出したのは、AIではありません。AIはただ、それをこれまでより早くあぶり出すだけなのかもしれません。

おわりに

CMOは何十年もかけて、顧客の記憶に残るブランドのつくり方を磨いてきました。次に身につけるべき規律は、顧客がブランドに出会う前に「何を検討すべきか」を機械に尋ねる世界でも、積み上げてきた意味が検討へと変換され続けるようにすることです。

意味、AI可読性、証拠は、これまでのブランド構築を置き換えるものではありません。この3つの掛け算が、すでに築いた価値を、新しい形の検討へ引き継げるかどうかを分けます。

もし明日から、自社の営業もマーケターも誰一人ブランドを語れなくなったとして、あとに残された情報だけで、顧客やAIは「この会社は何者で、どこが違い、なぜ選ぶべきか」を正しく組み立て直せるでしょうか。そして、顧客が自社に出会う前にAIが候補を絞り込むとき、その中に自社は残っているでしょうか。

議論を要約すると、次の4点になります。

  1. ブランドエクイティと「検討されること」は、もう同じではない
    顧客の記憶や信頼が残っていても、それがAIの挟まる発見・評価の環境を通り抜けて将来の検討につながらなければ、ブランドの実際の影響力は減価しえます。
  2. AIは、ブランドとの直接のやり取りが始まる前に、意思決定の層を差し込む
    発見と評価ではAIとデジタルの比重が増し、検証と確信では人の価値が際立ちます。役割分担そのものが、いま変わりつつあります。
  3. 目指す先は、可視性からレジリエンスへ移る
    自社の誰もその場にいないときにも、意味を保ち、正しく理解され、信頼されるブランドをつくることが問われます。
  4. その転換を支えるのは、3つの規律の掛け算
    意味(自社にしか持てないもの)× AI可読性(AIに正しく組み立て直される状態)× 証拠(市場が検証できる主張)。どれか一つでも欠ければ、全体が弱くなります。

参考文献

ブランドエクイティの基礎理論

  • Aaker, D. A. (1991). Managing Brand Equity: Capitalizing on the Value of a Brand Name. Free Press.
  • Keller, K. L. (1993). Conceptualizing, Measuring, and Managing Customer-Based Brand Equity. Journal of Marketing, 57(1), 1–22.
  • Spence, M. (1973). Job Market Signaling. The Quarterly Journal of Economics, 87(3), 355–374.
  • Borkovsky, R. N., Goldfarb, A., Haviv, A. M., & Moorthy, S. (2017). Measuring and Understanding Brand Value in a Dynamic Model of Brand Management. Marketing Science, 36(4), 471–499.
  • Aaker, D. A. (2026). Is Short-termism Undermining Your Brand Equity? California Management Review, 68(3), 124–133.

購買行動に関する調査

  • Gartner. (2026年5月20日). Gartner Survey Finds 69% of B2B Buyers Turn to Sales Reps to Validate AI-Generated Insights.(2025年8〜9月実施、B2Bバイヤー645名)
  • Accenture. (2025年6月3日). Me, My Brand and AI: The New World of Consumer Engagement.(14カ国・18,000人の消費者調査)

AI検索に関する公式ガイダンス

  • Google Search Central. Optimizing your website for generative AI features on Google Search.(最終更新:2026年7月10日)
  • Google Search Central. AI features and your website.(最終更新:2025年12月10日)

Iku Hirosaki
Elana Radzmi
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エラナ・ラズミ
Go-to-Market (GTM) Strategy Manager – Southeast Asia

グローバル環境で豊富な経験を持つ、ブランド・マーケティング戦略のスペシャリスト。緻密なリサーチと分析フレームワークを駆使し、事業の方向性を形作り、マーケットポジショニングを強化するインサイトを創出。MAXIS、Toshiba T&D Systems Asia、FGV Holdingsなどマレーシアのラージエンタープライズにてキャリアを構築。Toshiba T&D Systems Asia在籍時には、日本・中東市場を含むブランドプレゼンスの構築を主導し、同社過去最高売上の達成に貢献。2026年ゼロワングロース入社、GTM Strategy Managerとして主に東南アジア市場のリサーチ、および同地域への進出企業に対するGTM支援に従事。University of Malaya Graduate School of BusinessにてMBA取得。

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