インテントデータ、活用できていますか?

最終アップデート: 
November 11, 2022

過去3年間で最も急速に成長しているデータカテゴリーがインテントデータです。リード獲得の強化、販売サイクルの短縮、コンバージョンの増加を目指すB2Bセールスおよびマーケティングチームにとって不可欠なリソースである一方、その活用に関する課題もあります。

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インテントデータとは

インテントデータとは、ウェブユーザーの様々なコンテンツ消費行動から推測される興味関心に関するデータを指します。自社ウェブサイトから取得できるファーストパーティインテントデータ、BomboraやINTENTDATA.IOなどの外部プロバイダを通じて取得可能なサードパーティインテントデータがあります。以前のブログでサードパーティインテントデータの活用について詳しくご紹介していますのでご興味のある方はぜひそちらもチェックしてみてください。

インテントデータ2022

収益情報プラットフォームを提供するdemandscienceの調査で、企業のインテントデータに対する意識や、収益に与える影響に関して以下の事が分かりました。

  • B2Bの営業・マーケティング担当者の約17%が、インテントデータを利用してリードのコンバージョン率を30%向上させたと回答。前年比33%の急増。
  • CRMやデータベースのスコアリング、リードジェネレーション、パーソナライズドマーケティングの強化にインテントデータを活用する企業が増え、それぞれ17%、7%、24%増加。
  • 55%の調査回答者が、営業チームとマーケティングチームが何をもってインテントデータとするかについて意見が一致しないと回答。

この結果から、インテントデータを使用する利点は明確に認識されつつも、どうインテントデータを定義・評価するかの点で苦戦している状況が見えます。

インテントデータをアクションにつなげるポイント

インテントデータはどう特定できるのでしょうか。また、どのようにしてマーケティングキャンペーンに役立たせることができるのでしょうか?

インテントプラットフォームを活用する

今や数多くのインテントデータプラットフォームやサービスが世に出ています。そもそもインテントデータとはウェブ上を移動する際にそれぞれが残すデジタルフットプリントからオーディエンスの興味や課題、そして特定の製品を購入する意思を読み取ったものをさします。インテントプラットフォームはウェブ、広告ネットワーク、ソーシャルメディアなどさまざまな場所でこのシグナルを監視・保存し、何千もの場所から取得した何十億もの行動シグナルから予測レイヤーを構築します。このインサイトを分析し、特定のキャンペーンに焦点を当てると、どこの誰が購入する可能性が最も高いかを予測することができます。

最適なタイミングでアクションをかける

バイヤーが実在する人間である以上、たとえ強い購買意欲を掻き立てるソリューションであっても、必ずしも購入してもらえるとは限りません。B2Bでは優先順位や予算が変わったり、あるいは担当者の異動による需要の変化など様々な要因により購買意欲がありそうな優良見込み客が突然、商談から遠ざかってしまうことも十分にあり得ます。

購買に至る直線的な経路がなく競争が激しくノイズの多い市場において、適切な顧客に適切なタイミングでアプローチすることが極めて重要です。この適切なタイミングは「ZMoT(Zero Moment of Truth)」と呼び、購買を促すエンゲージメントとアクションを起こすのに最適なタイミングをさします。インテントデータが提供するリアルタイムのインサイトで必要なコンテキスト、タイミング、関連性を兼ね備えたキャンペーンを実現することが重要です。

B2Bインテントデータの活用方法

アカウントベースドマーケティング(ABM)の強化

アカウントベースドマーケティング(ABM)のような、高度にパーソナライズされた特定のキャンペーンではインテントによってさらに精度を高めることができます。

  • 各アカウントのインテントレベルに基づいてエンゲージメントとリソース配分の優先度を決定し、適切なタイミングでエンゲージすることが可能。
  • ターゲットアカウントのインテントやペインポイントに合わせてメッセージング、コンテンツ、リソースをパーソナライズすることが可能。

営業による売上強化

インテントデータを取り入れることで、営業チームはより精度の高いエンゲージメントを実現することができます。無駄なリソースを最小限に抑え、ポテンシャルの高いリードやアカウントを特定し優先順位を付け、適切なタイミングで情報を提供することができます。

メッセージングのパーソナライズ

インテントデータをもとにコンテンツアセット、ナーチャリングキャンペーン、エンゲージメントメッセージすべてを最適化することができます。作成したメッセージと見込み客の関心との間のギャップを特定し、よりパーソナライズされたコンテンツを作成することができます。

広告ターゲティングの強化

インテントデータで広告キャンペーンの精度を高めることもできます。B2Bバイヤーの74%はオンライン購買に費やす時間の半分を調査にあてていると言われています。インテントデータを活用するとバイヤーの検索意図に合わせたり検索意図に適したコンテンツを配信することができるため、特定のトピックに関心を示している見込み客(潜在層、顕在層両方)に対してより適切なメッセージを配信することにより、ROIを向上させることができます。

バイヤーインテントを分類して理解する

バイヤーインテントとは、顧客が一定期間内に貴社の製品やサービスを購入する、あるいは購入する気になる確率を表すもので、アクティブ・インテント(能動的)とパッシブ・インテント(受動的)の2つに分けることができます。

1. アクティブ・インテント

顧客が特定の製品やサービスを調査するために行動していることを示すバイヤーインテントのことで、トランザクショナル・インテントとも呼ばれます。まさに購入する意思を示しており、近い将来取引が成立する可能性が高いことを意味します。

2. パッシブ・インテント

顧客が現在不満に思っている製品やサービスの代替案を探している場合を指し、インフォメーショナル・インテントとも呼ばれます。購入の意思はあるもののまだ情報収集の段階にあることを意味します。

https://www.oktopost.com/blog/intent-based-marketing/

B2Bのバイヤーは特定のブランドのWebサイトを訪問する前に12回のオンライン検索を行っていると言われています。自社Webサイトを閲覧したのが12番目であっても、そのタイミングで高度にパーソナライズされた情報を提供することができれば自社ブランドを顧客の記憶に強く刻み込むことができます。また、購入の準備がどの程度整っているかを知ることもできるでしょう。顧客からの購買シグナルを特定できれば、営業チームは関連情報を適切なタイミングで提供したり、適切なコミュニケーションをとることもできます。

まとめ

インテントデータを活用では、どれだけ実際のアクションに繋げられるかどうかがポイントとなります。ある程度の期間運用をしていくことでその精度は高まりますが、初期段階ではインテントデータの分類や定義付けが当面の課題となり、インテントプラットフォームなどの外部プロバイダを使って精度を高めることが必要になるでしょう。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

大学在学中に株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてマーケティングインターン終了後、渡米。大学院にてマーケティングを学んだ後シリコンバレーに移りEd Techのスタートアップ企業、Couseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)がある。