Eメールマーケティング購読解除の戦術

最終アップデート: 
March 1, 2023

メールは依然としてトップマーケティングチャネルの1つです。22年CMIの調査によるとB2Cマーケターの67%、B2Bの69%がEメールマガジンを活用しています。カスタマーエクスペリエンス向上のためには、配信プランと同時に配信停止プランの策定が必要です。

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配信停止プロンプトはメールマーケティングに有効か?

メールプロバイダーはユーザーエクスペリエンスの向上のため、簡単にEメールの受信停止ができるよう工夫をしてきました。Gmailでは特定のEメールアドレスからのEメールを30日以上開封していない場合、受信停止するかどうかを尋ねるポップアップが出る場合があります。

出典 Content Marketing Institute

このように自動的に購読解除を促すことはメール受信側にとっては有難いものですが、送信者側のマーケティング視点に立って考えるとどうでしょうか?購読者の数を重視する場合は、当然ながら直接的に購読者を減らすことになるのでマイナスと言えます。 一方、開封率を重視するのであればプラスになります。

1,000人の購読者のうち250人がメールを開封:開封率25%

100人が自動購読解除からオプトアウト

900人のうち250人がメールを開封:開封率27.7%

配信ボリュームや購読者数ももちろんファネル上部の重要な指標です。たとえメールを読まなくても、受信箱に表示されることでブランド認知を促進し、直接ウェブサイトにアクセスするようになるかもしれません。そういう意味では購読者数や配信ボリュームに重要性はあるものの、その質の評価として開封率やクリック率の方を重要視することも重要になっています。また、購買可能性はあるがメール開封をしていない「中間層」に購読を続けてもらったり、配信対象から外すべきオーディエンスを特定するルールを決めておくことが大切です。

Eメールマーケティング購読解除の戦術

1.良い第一印象を与え、エンゲージメントを高める

Eメールマーケティングにおいても第一印象が大事です。最初からオーディエンスと高いエンゲージメントが取れていれば読者が離れていく可能性も低くなります。

親しみやすい件名や絵文字を使ったり、受信者の名前を入れずとも個人的なやりとりを演出することで親しみやすさを出すと良いでしょう。また、オーディエンスに直接問いかけて返信などのアクションを誘うのも手です。「このメールに返信はできません」という形式もよく目にしますが、これは初期段階での顧客エンゲージメントを薄めてしまう一つの要因です。

また、業種業態にもよりますが差出人名は企業名ではなく、個人名で送ると親近感を与える傾向があります。パーソナライズされた文面で直接受信トレイ(優先的に閲覧するトレイ)に移動してもらうように直接お願いするのも良いでしょう。

3.30日目までに再度エンゲージする

メールマーケティングツールを使っていれば、誰がいつメールを最後に開封したか把握することができます。30日を一つの節目と捉え、配信停止を促すか、非アクティブな購読者に購読を続けるかどうか尋ねると良いでしょう。その上でこのまま購読を続ける方法、受信したいメールトピックの確認、配信停止、フィードバックのお願いを記載します。

このようなメールを送ることに抵抗を感じるマーケターの方もいるかもしれませんが、送信者側もクリーンなメールリストを保つことできますし、フィードバックを次に生かすことができます。このメールにも反応がない場合は、1週間から10日後にもう一度「ラストコール」メールを送り、2週間以内にメール配信を止める予定であることを伝えます。

4. 購読者の希望に合わせたメール配信を実施する

購読停止してしまう理由のトップは「頻度」です。2020年のHubSpotの調査によると、回答者の半数以上が、メールの頻度が高すぎるために配信を停止したと回答しています。(1日1回の送信で34%が、週1回では17%に不快な気持ちになったと回答)

しかし、その理由で貴重な購読者を手放してしまうのはとてももったいないことですよね。メール配信も「配信」か「解読」という二択ではなく、メールプリファレンスセンターなどを作り、どのくらいの頻度でメールを受け取りたいか(週2回以上、週1回、月1回など)、興味のあるトピックはなにか、所属している業界は何か、このメール購読やサービスに期待していることなどの情報を収集します。

週1回だけダイジェストメールが欲しい人もいれば、毎日最新情報をメールで受け取りたい人もいます。これらの情報を集めることで適切なセグメンテーションでメール配信をすることが可能になり、解読数も抑えることができます。

まとめ

常に重要なのは常に受信者の立場に立つことです。今の時代、彼ら一人一人のEメールプリファレンスを把握、それに合わせたメールのセグメンテーションと配信が重要になっています。受信者のエクスペリエンスを向上させる施策の一つとして、購読解除の戦術を今一度見直してみてはいかがでしょうか。

Iku Hirosaki
Iku Hirosaki
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廣崎 依久
取締役 兼 COO | Board Member and Chief Operating Officer

大学在学中に株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にてマーケティングインターン終了後、渡米。大学院にてマーケティングを学んだ後シリコンバレーに移りEd Techのスタートアップ企業、Couseraにてフィールドマーケティング及びエンタープライズマーケティングオペレーションに従事。その後シンガポールに渡りDSPベンダーのMediaMathにてAPAC地域のフィールドマーケティング及びマーケティングオペレーションを担当。01GROWTHでは教育サービスの開発に加え、国内外のコンサルティング業務を行う。著書に『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』(MarkeZine BOOKS)がある。